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2020年3月製造販売承認
■バクスミー点鼻粉末剤3mg
■キャブピリン配合錠
■ソリクア配合注ソロスター
■ラツーダ錠20mg,40mg,60mg,…
■メラトベル顆粒小児用0.2%
■アイラミド配合懸濁性点眼液
■ロケルマ懸濁用散分包5g,10g
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■ バクスミー点鼻粉末剤3mg
1. 承認概要 |
新投与経路 2020年3月 / 2020年10月 発売 |
2. 薬効分類名 |
低血糖時救急治療剤 |
3. 一般的名称 |
グルカゴン |
4. 適応症 |
低血糖時の救急処置 |
5. 類薬との比較 |

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6. 特徴 |
【特徴】 本剤は、患者の意識がない場合であっても家族などが使いやすい経鼻投与のグルカゴン製剤です。重症低血糖の迅速な救急処置が可能になると期待されています。
【承認状況】 本剤は、米国と欧州など35か国で承認されています(2020年3月現在)。
【作用機序】 グルカゴンが肝臓に存在するグルカゴン受容体を活性化させることで、肝内に貯蔵されているグリコーゲンの分解を促し、産生されるグルコースを肝外へ放出させることによって血糖値を上昇させます。
【用法・用量】 通常、グルカゴンとして1回3mgを鼻腔内に投与します。 なお、飢餓状態、副腎機能低下症、頻発する低血糖、一部糖原病、肝硬変などの場合は血糖上昇効果がほとんど期待できず、アルコール性低血糖の場合は血糖上昇効果がみられません。
【副作用】 日本人1型および2型糖尿病患者を対象とした国内第III相臨床試験(IGBJ試験)において、安全性評価対象症例71例中12例(16.9%)に副作用が報告されました。主な副作用は、鼻痛6例(8.5%)、血圧上昇、悪心各4例(5.6%)、嘔吐、耳痛各2例(2.8%)でした(承認時)。 なお、重大な副作用として、ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)が現れる恐れがあります。 |
7. 使用上の注意と服薬支援 |
【薬剤師への注意】 1.本剤を投与しても意識レベルの低下等の低血糖症状が改善しない場合は、ブドウ糖静脈内注射などの適切な処置が必要です。 2.患者およびその看護者が、本剤を必要とする場面で迅速に対処できるように、投与方法・保管方法について十分に指導する必要があります。いざという場面で戸惑わないために、デモ機などを活用して理解度に合わせた指導を行いましょう。
【患者さんへの指導例】 1.この薬は、低血糖を起こした際の救急処置に用います。肝臓に働きかけてブドウ糖の放出を促すことで、血糖を一時的に上げます。 2.「意識がはっきりしない」「口から糖分を摂れない」など、周りの人の助けが必要な低血糖状態になったときに使用する1回使い切りタイプの点鼻粉末薬です。 3.包装フィルムは使用する直前まではがさないでください。使用時は、赤い部分を引っ張って、容器から噴霧器を取り出します。噴霧器を支える人差し指また中指が鼻に当たるまで、点鼻容器の先端を片方の鼻の穴にゆっくり差し込んでから、注入ボタンを緑色の線が見えなくなるまで押し切ってください。 4.噴霧後はすぐに主治医に連絡し、医療機関を受診してください。その際、低血糖の発生状況や使用した結果などを主治医に伝えてください。 5.本剤の効果は一時的なものなので、意識がある場合は速やかに糖分を摂取してください。追加投与による効果は期待できないため、本剤またはほかのグルカゴン製剤の追加投与は行わないでください。 6.本剤を投与して意識レベルが一時回復しても、低血糖の再発や遷延により、めまい、ふらつき、意識障害を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意が必要です。
【ここがポイント!】 糖尿病治療による低血糖は、症状が起きたときに速やかかつ適切に対処することができれば回復が見込めますが、進行すると重症低血糖に陥り、昏睡や痙攣、脳障害などの後遺症を起こすほか、死に至ることもあります。従来、医療機関外であっても緊急時に対処できるようにグルカゴン注射薬が用いられていますが、使用時の手順が複雑で、患者およびその看護者(家族など)の負担が大きいという問題があります。 本剤は、注射薬以外の低血糖治療薬として初のグルカゴン製剤です。室温で持ち運びができる1回使い切りタイプの点鼻粉末製剤で、看護者などが投与することで重症低血糖の救急処置を行うことができます。本剤は鼻粘膜から吸収されるため吸入や深呼吸の必要がなく、意識がない患者にも使用可能です。 |
8. 製造販売元など |
製造販売元:日本イーライリリー株式会社 お問合せ先:日本イーライリリー株式会社 Lilly Answers リリーアンサーズ 0120-360-605 |
※主に添付文書、医薬品インタビューフォーム、審査報告書を参考に作成いたしました。
※薬の使用にあたっては、必ず処方する医師の指示にしたがってください。
(文責 下平秀夫) 2021年3月
※本ページに掲載している記事および図表等に関する著作権は株式会社ファーミックにあります。
製品写真については、「写真付/服薬指導CD-ROM」(八王子薬剤センター発行)より許諾を得て使用しています。
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