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2017年3月製造販売承認

■インチュニブ錠1mg,3mg
■コムクロシャンプー0.05%
■ナルラピド錠1mg,2mg,4mg
■ナルサス錠2mg,6mg,12mg,24…
■スインプロイク錠0.2mg
■ ナルサス錠2mg,6mg,12mg,24mg
1. 承認概要
新有効成分 2017年3月 / 2017年6月 発売
2. 薬効分類名
持続性癌疼痛治療剤
3. 一般的名称
ヒドロモルフォン塩酸塩
4. 適応症
中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛
5. 類薬との比較

6. 特徴
【特徴】
本剤は、モルヒネから誘導された半合成の強オピオイド鎮痛剤です。麻薬及び向精神薬取締法の規制を受けます。ナルサス錠は徐放性製剤であり、持続的な疼痛に定時で用います。一方、ナルラピド錠は同じ成分ですが即効性製剤であり、主に突出痛に対するレスキュー・ドーズに使用します。

【海外診療ガイドラインと背景】
本剤は海外において80年以上販売されているオピオイド系鎮痛剤であり、WHO 方式がん疼痛治療法をはじめとする海外診療ガイドラインにおいて中等度以上のがん性疼痛に対する標準的薬剤とされていますが、これまで我が国では使用できませんでした。そこで、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において検討され開発が決定されました。なお、今回承認された徐放錠、即放錠に加え、ヒドロモルフォン塩酸塩の注射剤も申請中です(2017年6月現在)。

【オピオイドスイッチング】
がん性疼痛の治療においては、オピオイドを増量しても十分な鎮痛効果が得られない場合や、副作用で投与ができない場合に、他のオピオイド鎮痛剤への変更(オピオイドスイッチング)が行われます。我が国において中等度から高度のがん性疼痛に関する医薬品に新たな選択肢が加わったことになります。

【同一成分の即放錠と徐放錠の投与】
がん性疼痛の治療においては、定時投与には徐放性製剤を使用し、用量調節や突出痛への対処には同一成分の即放性製剤を使用することが適するとされています。そのため今回、ナルサス錠(徐放性製剤)と、レスキュー投与に用いる同一成分のナルラピド錠(即放性製剤)が同時に承認されました。

【承認状況】
45の国と地域で承認されています(2016年3月現在)。

【作用機序】
オピオイド受容体には、μ(ミュー)、κ(カッパ)、δ(デルタ)の3種のサブタイプがあります。本剤は、δ及びκよりもμオピオイド受容体に対し高い親和性を示します。μ受容体はモルヒネの鎮痛作用に最も関連する受容体であり、モルヒネ(Morphine)の頭文字をとってμ受容体と呼ばれます。大脳皮質や視床のμレセプターを刺激すると下行性の抑制系が活性化し、脊髄後角に存在するμレセプターを刺激すると侵害刺激伝達が抑制されて強力な鎮痛作用を発揮します。

【用法・用量】
ナルサス錠は、通常、成人にはヒドロモルフォンとして 4 ~24mgを 1 日 1 回経口投与します。なお、症状に応じて適宜増減します。
1. 初回投与
オピオイド鎮痛剤による治療の有無を考慮して初回投与量を設定します。
(1) オピオイド鎮痛剤を使用していない患者さん
1日4mgから開始し、鎮痛効果及び副作用の発現状況を観察しながら用量調節を行います。
(2) オピオイド鎮痛剤を使用している患者さん
他のオピオイド鎮痛剤から本剤に変更する場合には、前治療薬の投与量を考慮して投与量を決めます。本剤の1日用量は、ヒドロモルフォンとして、モルヒネ経口剤1日用量の1/5量を目安とします。
(3) フェンタニル貼付剤を使用している患者さん
フェンタニル貼付剤から本剤へ変更する場合には、フェンタニル貼付剤剥離後にフェンタニルの血中濃度が50%に減少するまで17時間以上かかることから、剥離直後の使用は避け、フェンタニルの血中濃度が適切な濃度に低下するまでの時間をあけるとともに、本剤の低用量から投与することを考慮します。
2. 疼痛増強時
疼痛が増強した場合や鎮痛効果が得られている患者で突発性の疼痛が発現した場合は、直ちにナルラピド錠(即放性製剤)の臨時追加投与を行います。

【モルヒネとの効力比】
国内外の教科書及びガイドラインでは、本薬経口剤のモルヒネ経口剤に対する効力比は 1:2.7~1:8 とされています。海外での 2000年以降に実施された試験では、本剤経口剤のモルヒネ経口剤に対する効力比を 1:5 として実施されています。

【モルヒネとの効果・副作用の比較】
L. Felden らは、8つの論文をまとめてメタ分析したところ、モルヒネに比べて鎮痛効果がやや高く、副作用 (吐き気・嘔吐・痒み等)は変わらなかったと述べています(Br J Anaesth (2011) 107 (3): 319-328.)。
モルヒネは肝臓で主にグルクロン酸抱合されて、約50%がmorphine-3-gluguronide(M3G)と約10%がmorphine-6-gluguronide(M6G)となります。M3GおよびM6Gはほとんど腎から排泄されるため、腎機能低下の患者さんではM6Gの排泄が低下して呼吸抑制作用や中枢神経作用を増強することなどが問題となります。一方、hydromorphoneの代謝産物はhydromorphone-3-glucuronide(H3G)のみで、M6Gはつくられません。しかし、H3GとM3Gは同様に神経毒性を持っているといわれています。

【食事の影響】
日本人健康成人男性6例に、本剤2mgを単回投与したとき、空腹時と比較して食後投与時でCmaxは1.6倍、AUCinfは1.3倍に増大しました。

【副作用】
がん疼痛患者を対象とした国内臨床試験において、総症例139例中85例(61.2%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められました。主な副作用は、悪心41例(29.5%)、嘔吐38例(27.3%)、傾眠28例(20.1%)、便秘15例(10.8%)等でした。(承認時)

【悪心及び嘔吐】
治験(B-J303 試験)において、投与 1 日目の悪心及び嘔吐の発現率はオキシコドン徐放錠投与群と比較すると明らかに高いことが示されました(本剤徐放錠群: 悪心19.3%(17/88 例)及び嘔吐 18.2%(16/88 例)、オキシコドン徐放錠群: 悪心 1.1%(1/92 例)及び嘔吐 0 例)。

【代謝】
本薬の主な代謝経路は 3 位のグルクロン酸抱合による「H3G」への変換であり、ヒトでは UGT2B7 の関与が報告されています。ですから、本剤投与時にシトクロム P450 を介した薬物相互作用が生じる可能性は低いと考えられます。
7. 使用上の注意と服薬支援
【薬剤師への注意】
(1) ナルサス錠は徐放性製剤であり、持続的ながん疼痛の緩和に使用します。
(2)モルヒネ製剤と同様に、重篤な呼吸抑制のある患者、気管支喘息発作中の患者、慢性肺疾患に続発する心不全の患者等らには禁忌です。
(3)便秘、悪心・嘔吐に対する対策が必要です。

【患者さんへの説明例】
(1)このお薬には、痛みをおさえる強力な作用があります。
(2)本剤は徐放性製剤であることから、急激な血中濃度の上昇による重篤な副作用の発現を避けるため、服用に際して割ったり、砕いたり、あるいはかみ砕かないようにしてください。
(3)眠気、めまいが起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないでください。
8. 製造販売元など
製造販売元:第一三共プロファーマ株式会社
(販売元:第一三共株式会社)
お問合せ先:第一三共株式会社 製品情報センター 0120-189-132
※主に添付文書、医薬品インタビューフォーム、審査報告書を参考に作成いたしました。
※薬の使用にあたっては、必ず処方する医師の指示にしたがってください。
(文責 下平秀夫) 2017年6月/2017年9月更新

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