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2016年7月製造販売承認

■ビムパット錠50mg,100mg
■ピコプレップ配合内用剤
■ ビムパット錠50mg,100mg
1. 承認概要
新有効成分 2016年7月 / 2016年8月 発売
2. 薬効分類名
抗てんかん剤
3. 一般的名称
ラコサミド
4. 適応症
他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法
5. 類薬との比較

現在わが国で用いられている抗てんかん薬は20種類以上あります。このうち部分発作に適応を有するもの8種を表に示しました。多くの薬剤は併用での適応しかありませんが、2014年にはラミクタール、2015年にはイーケプラが単独使用の適応も得ています。
診療ガイドラインとしては日本神経学会の「てんかん治療ガイドライン」がありますが、2010年の発行であるため新世代の抗てんかん薬については記載されておらず、部分発作の第一選択薬はカルバマゼピンとなっています。
6. 特徴
【特徴】
新しい作用機序の抗てんかん薬です。そのため既存の抗てんかん薬では十分な効果を示さない患者に対する有効性が期待されています。また、他のナトリウムチャネル阻害薬とは作用機序が異なるので併用可能です(今回承認された適応は併用療法のみ)。また、本成分は機能性アミノ酸の一種であり、重要な薬物相互作用が認められていないことも特徴です。

【てんかんの分類】
てんかんは、脳内の神経細胞の異常な電気的興奮に伴って痙攣や意識障害などが発作的に起こる慢性疾患です。てんかんは原因により「特発性てんかん」と「症候性てんかん」に分類されます。この分類とは別に発作が起こる部位によって、大脳全体で起こる「全般発作」と、脳の一部から興奮がはじまる「部分発作」に分けられます。部分発作から全般発作に移行することもあります。てんかんを治療するには、これらの脳内の電気の流れる量を穏やかにすることで過興奮状態にある神経細胞膜を安定化することが必要です。

【作用機序】
本剤は、「ナトリウム(Na)チャネル阻害薬」と言われます。既存のNaチャネル阻害薬としては、アレビアチン(フェニトイン)、テグレトール(カルバマゼピン)、デパケン(バルプロ酸)等がありますが、本剤の作用機序は若干異なります。Naチャネルには「電位依存性ゲート」と「不活性ゲート」の2つのゲートがあります。この2つのゲートが開いた時に興奮が伝わります。「不活性ゲート」はさらに2つに分けられ、すばやくゲートが閉じる「速い不活性化ゲート」と、ゆっくりゲートが閉じる「緩徐な不活性化ゲート」があります。既存薬が主に関与するのは「速い不活性化」ですが、本剤は主に「遅い不活性化」に関与しています。遅い不活性化を行うように働きかけると、活性化するまでに費やす時間を延長することができます。そのため、利用可能なNaチャネルの割合が減少し、興奮を低下させることができます。

【承認状況】
2008年8月に欧州、2008年10月に米国において承認されて以来、世界70以上の国または地域で承認されています(2016年1月現在)。

【用法・用量】
成人には1日100mgより投与を開始し、その後1週間以上の間隔をあけて増量し、維持用量を1日200mgとしますが、いずれも1日2回に分けて経口投与します。なお、症状により1日400mgを超えない範囲で適宜増減しますが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として100mg以下ずつ行います。

【副作用】
承認時までに、日本及び中国で実施したプラセボ対照比較試験、及びそれに続く長期継続投与試験における安全性解析対象例527例(日本人139例を含む)のうち、313例(59.4%)に副作用が認められました。主な副作用は、浮動性めまい(27.5%)、傾眠(10.4%)、頭痛(5.9%)、嘔吐(5.9%)、悪心(5.5%)等でした。また、主な臨床検査値異常(副作用)は、白血球数減少(3.4%)でした。重大な副作用として、房室ブロック、徐脈、失神、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、薬剤性過敏症症候群、無顆粒球症が報告されています。「複視・霧視」の副作用が3%以上で報告されているのが特徴的です。

【TDMの必要性は低い】
本剤の明確な有効濃度域は得られていないこと、血漿中未変化体濃度に用量比例性が認められ、反復投与による自己誘導が認められないことから、 TDM を定期的に実施する必要性は低いと考えられています。肝機能障害患者や腎機能障害患者に投与する場合には TDM が有用と考えられています。

【重篤な皮膚障害のリスクは低い】
ラモトリギン、カルバマゼピン等の抗てんかん薬で皮膚粘膜眼症候群等の重篤な皮膚障害が報告されていますが、本剤の場合にはリスクは高くないと考えられています。

【心電図への影響】
安全性薬理試験においてPR間隔の延長が認められ、海外QT/QTc 評価試験においても用量依存的なPR間隔の延長が認められています。そのため、添付文書で注意喚起するとともに患者さんに適切に情報提供する必要があります。この注意はNaチャネル阻害薬に一般的に記載されている内容です。
7. 使用上の注意と服薬支援
【薬剤師への注意】
(1)本剤は、単剤療法の適応はなく、他の抗てんかん薬との併用療法のみです。
(2)最初から維持投与量とせず、少量から開始し漸増します。そうしないと「浮動性のめまい」や「傾眠」が増えてしまいます。
(3)クレアチニンクリアランスが30mL/min以下の重度及び末期腎機能障害のある患者には、1日最高用量を300mgとします。血液透析を受けている患者では、1日用量に加えて、血液透析後に最大で1回用量の半量の追加投与とします。
(4)重度の肝機能障害のある患者さんには禁忌です。また、軽度又は中等度の肝機能障害のある患者(Child-Pugh分類A及びB)には、1日最高用量を300mgとします。

【患者さんへの説明例】
(1)脳内の神経の過剰な興奮を抑えて安定化させることによって、てんかんの発作をおさえます。他の抗てんかん薬と併用して、てんかんの部分発作の治療に用います。
(2)目がかすんだり、二重に見えることがあります。また、ふらついたり、反射がにぶくなったり、眠くなったりすることがあるので、自動車の運転など、危険を伴う機械の操作はしないでください。
(3)心臓に障害のある患者さん、脈を遅くする作用をもつ薬などを使用している患者さんはお申し出ください。
8. 製造販売元など
製造販売元:ユーシービージャパン株式会社
販売元:第一三共株式会社
お問合せ先:第一三共株式会社 製品情報センター 0120-189-132
※主に添付文書、医薬品インタビューフォーム、審査報告書を参考に作成いたしました。
※薬の使用にあたっては、必ず処方する医師の指示にしたがってください。
(文責 下平秀夫) 2016年12月/2017年2月更新

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