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2016年3月製造販売承認

■プリマキン錠15mg「サノフィ」
■フィコンパ錠2mg,4mg
■タグリッソ錠40mg,80mg
■シクレスト舌下錠5mg,10mg
■ タグリッソ錠40mg,80mg
1. 承認概要
新有効成分 2016年3月 / 2016年5月 発売
2. 薬効分類名
抗悪性腫瘍剤/チロシンキナーゼ阻害剤
3. 一般的名称
オシメルチニブメシル酸塩
4. 適応症
EGFRチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性のEGFR T790M変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌
5. 類薬との比較

6. 特徴
【特徴】
既存のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)に抵抗性のEGFR T790M 変異陽性の非小細胞肺癌に対する、世界初の薬剤です。本剤は既存のEGFR-TKIとは異なる分子構造を有する薬剤で、活性化変異だけでなく、主要な耐性機序であるT790M変異に対しても作用します。野生型EGFRへの阻害作用は限定的となるようにデザインされているため、既存のEGFR-TKIで高頻度に見られる皮膚障害が軽減されることも期待されています。

【背景】
肺癌は日本人のがん死亡原因の第一位であり、そのうち80%以上は非小細胞肺癌(NSCLC)です。NSCLCに対する化学療法として、かつてはプラチナ製剤が主流でしたが、分子標的薬の登場により劇的に変化しました。EGFR陽性NSCLCについては、2002年に分子標的薬であるEGFR-TKIのゲフィチニブ(イレッサ)が登場し、続いてエルロチニブ(タルセバ)、アファチニブ(ジオトリフ)が承認され、治療成績が飛躍的に向上してきました。一方で、多くの場合治療開始1年から1年半ほどでがん細胞が薬剤に耐性を獲得し、病勢が進行してしまうという課題があり、その耐性化の約5割程度がEGFR T790M変異陽性といわれています。これまでT790M遺伝子変異に特化して開発された薬剤はありませんでした。そのため、2015年7月に日本肺癌学会と患者団体がタグリッソの早期承認を求める要望書を提出していました。

【EGFR T790M変異陽性とは】
近年、EGFR-TKIの治療抵抗性検体から獲得耐性因子として、EGFRのT790M変異、Met遺伝子増幅、肝細胞増殖因子(HGF)の過剰発現などが発見されています。これらの耐性因子が確認された患者のうち、約60%においてT790M変異が確認されており、EGFR T790M変異陽性の非小細胞肺がん患者数は約1万9,700人~3万5,300人と推測されています。

【承認状況】
米国では、2014年4月にFDAからBreakthrough Therapy(画期的治療薬)の指定を受け、2015年11月に世界で初めて承認されました。また、欧州では、2015年5月に欧州医薬品庁(EMA)から迅速審査が適応される旨の通知を受け、2016年2月に承認を取得しています。

【用法・用量】
通常、成人には80mgを1日1回経口投与します。なお、患者の状態により適宜減量します。間質性肺疾患、肺臓炎、QT間隔延長などの副作用発現時には休薬、減量(1日1回40mg)または中止します。

【作用機序】
本剤は、活性化変異(L858R等)のみでなく、T790M変異も有するEGFR-TKIに対して阻害作用を示し、がん細胞の増殖に必要なシグナル伝達が遮断されることで、EGFR T790M変異を有する腫瘍の増殖を抑制します。

【臨床試験】
EGFR-TKI治療中あるいは治療後に病勢が進行しEGFR T790M変異陽性と診断されたNSCLC患者を対象として、2つの国際共同第II相臨床試験(AURA延長試験及びAURA2試験)が行われ、有効性と安全性が確認されました。2015年11月に米国で承認されて以降、2016年3月までにEU、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーで承認されています。

【副作用】
EGFR T790M変異陽性の非小細胞肺癌患者を対象とした国際共同第I/II相試験(AURA試験)の第II相部分及び国際共同第II相試験(AURA2試験)の併合成績において、安全性評価対象症例411例(日本人80例を含む)中355例(86.4%)に副作用が認められ、主な副作用は、発疹・ざ瘡等155例(37.7%)、下痢150例(36.5%)、皮膚乾燥・湿疹等117例(28.5%)、爪の障害(爪囲炎を含む)96例(23.4%)等でした。また、日本人集団では80例中75例(93.8%)に副作用が認められ、主な副作用は、発疹・ざ瘡等45例(56.3%)、爪の障害(爪囲炎を含む)31例(38.8%)、下痢29例(36.3%)、皮膚乾燥・湿疹等24例(30.0%)、間質性肺疾患5例(6.3%)等でした。(承認時)

【コンパニオン診断薬】
専用の体外診断薬によってEGFR T790M変異陽性が確認された患者に投与することが必要です。コンパニオン診断薬として、「コバスEGFR変異検出キット v2.0」が2016年3月に発売されました。
7. 使用上の注意と服薬支援
【薬剤師への注意】
(1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には禁忌です。
(2)添付文書の【警告】の項に、「本剤は、緊急時に十分に対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、非小細胞肺癌の治療法など、患者またはその家族に本剤の有効性および危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること」「間質性肺炎があらわれ、死亡に至った例が報告されているので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認および定期的な胸部画像検査の実施など、観察を十分に行うこと」等が記載されています。
 (間質性肺疾患、QT 間隔延長、血液毒性、肝障害、心臓障害、血栓塞栓症、感染症及び角膜障害については、製造販売後調査においてさらに検討が必要とされています。)
(3)本剤を調剤する際には、患者さんに注意喚起カードを提示してもらい、本剤服用中に間質性肺疾患の初期症状などが現れた場合の速やかな報告の必要性とともに緊急時の連絡先が担当医より案内されていることを確認してください。

【患者さんへの説明例】
(1)本剤は、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性のEGFR T790M変異陽性の非小細胞肺癌の治療に用います。
(2)飲み忘れた場合は、気がついたときにできるだけ早く飲んでください。ただし、次の服用時間がせまっている場合は、1回分とばし、次の通常の服用時間に1回分を飲んでください。2回分を一度に飲んではいけません。
(3)妊娠する可能性のある女性、パートナーが妊娠する可能性がある男性は避妊してください。
(4)セイヨウオトギリソウを含有する食品は薬の働きを弱める可能性がありますので、注意してください。
(5)下記のような症状があらわれた場合は、副作用の初期症状の可能性があるので、使用をやめてすぐに医師の診療を受けてください。
 a.息切れ、呼吸がしにくい、咳、発熱 [間質性肺疾患]
 b.動悸、めまい、ふらつき、気を失う [QT間隔延長]
 c.鼻血、あおアザができる、発熱、めまい [血小板減少、好中球減少、白血球減少、貧血]
 d.からだがだるい、白目や皮膚が黄色くなる、尿が黄色い、吐き気、嘔吐、食欲不振、かゆみ [肝機能障害]
8. 製造販売元など
製造販売元:アストラゼネカ株式会社
お問合せ先:アストラゼネカ株式会社 メディカルインフォメーションセンター  0120-189-115
※主に添付文書、医薬品インタビューフォーム、審査報告書を参考に作成いたしました。
※薬の使用にあたっては、必ず処方する医師の指示にしたがってください。
(文責 下平秀夫) 2016年6月/2016年7月更新

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