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2016年3月製造販売承認

■プリマキン錠15mg「サノフィ」
■フィコンパ錠2mg,4mg
■タグリッソ錠40mg,80mg
■シクレスト舌下錠5mg,10mg
■ プリマキン錠15mg「サノフィ」
1. 承認概要
新有効成分 2016年3月 / 2016年6月 発売
2. 薬効分類名
抗マラリア剤
3. 一般的名称
プリマキンリン酸塩
4. 適応症
三日熱マラリア及び卵形マラリア
5. 類薬との比較

6. 特徴
【特徴】
三日熱マラリアおよび卵形マラリアにおいて、他の抗マラリア剤による治療の後、肝細胞中に残存する休眠原虫(ヒプノゾイト)を殺滅するための国内初の根治治療薬です。
既存の抗マラリア薬は、赤血球中の原虫に対する抗マラリア薬であり、肝細胞中に残存する休眠原虫を殺滅することはできません。

【日本で承認された適応】
本剤は従来後述する「旅行での予防的投与」での使用や、マラリアの流行拡大防止目的としての1回投与で使用されたりしています(適応外)。今回我が国で承認された適応は、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬」として開発された経緯から、他の抗マラリア剤による治療の後、残存する休眠原虫を殺滅する根治治療薬として、14日間連続して服用します。

【背景】
三日熱マラリアおよび卵形マラリアの治療は、血液中のマラリア原虫を殺滅する薬剤を用いて発熱等の急性期の臨床症状を改善します。しかし、肝細胞内に休眠原虫が残存することにより、急性期の症状の改善後1ヵ月~数ヵ月、時には1年程度の期間を経て再発することがあります。
三日熱マラリアのヒプノゾイトに対する抗マラリア薬の投与を行わなかった場合の再発率は、東南アジアで50~60%、インドネシアで約30%、インド亜大陸で15~20%と報告されています。このため、抗マラリア薬による末梢血液中の原虫及び肝臓内のヒプノゾイト殺滅が三日熱マラリアと卵形マラリアの治療目標とされています。

【マラリアとは】
マラリアは亜熱帯・熱帯地域を中心に感染者数が多く、世界的に重要な感染症で100カ国余りで流行しており、WHO推計では、年間2億人以上の罹患者と200万人の死亡者があります。罹患率が最も高いのはサハラ以南アフリカ(特に中央部および西部アフリカ)といわれています。
免疫のない海外旅行者にとって熱帯熱マラリアは致死的な疾患であるため、熱帯熱マラリアと非熱帯熱マラリア(三日熱、卵形、四日熱)を分別することが重要です。熱帯熱マラリアでは、感染赤血球は末梢血管の閉塞をきたし、臓器不全を伴う重症マラリアに移行することが多いです。
三日熱マラリアと卵形マラリアでは、肝臓内で緩徐に発育する休眠体の存在が知られています。

【国内の感染状況】
現在、国内でみられるマラリアは土着マラリアではなく、すべて渡航先でマラリアに感染し、帰国後に発症する輸入マラリアです。国内において、2003~2012年の10年間に本剤が投与された三日熱マラリアおよび卵形マラリアの患者数は94 例と報告されています
末梢血塗抹標本の顕微鏡検査によって、マラリア原虫を検出することで診断します。

【既存の類薬】
我が国の既存薬は、非熱帯熱マラリアと合併症のない熱帯熱マラリアに用います。メファキンとマラロンは予防的投与の適応があります。塩酸キニーネは、ビブラマイシン錠[適応外]またはダラシンカプセル[適応外]との併用で用いられています。
三日熱マラリアおよび卵形マラリアの急性期の治療には、キニーネ塩酸塩、メフロキンおよびアトバコン/プログアニル塩酸塩の配合剤(製品名マラロン)等が使用されています。しかし、これらの薬剤はヒプノゾイトを殺滅することはできません。

【旅行での予防的投与(適応外)】
本剤におけるマラリア予防には、2つの用途があります。
ひとつは三日熱マラリア原虫の流行地域での一次予防としても使用します。マラリア流行地への旅行1~2日前に服用し、マラリア流行地を旅行中は1日1回決まった時間に服用し、さらに流行地を離れてからも7日間は毎日服用するようにします。
もうひとつは、推定抗再発療法(最終期予防)として使用します。プリマキンによる一次予防を行えば、推定抗再発療法の必要はありません。この場合は、マラリア流行地を離れてから14日間にわたり服用します。

【承認状況】
海外ではすでに60年以上にわたって使用されており、WHOおよび各国のガイドライン等で本剤の使用が推奨されています。米国において1952年1月に三日熱マラリアの再発予防(根治療法)で承認を取得して以来、カナダでは三日熱マラリアおよび卵形マラリアの再発予防(根治療法)で承認され、コロンビアでは三日熱マラリアで承認・販売されています。

【用法・用量】
通常、成人にはプリマキンとして30mgを1日1回14日間、食後に経口投与します。
通常、小児にはプリマキンとして0.5mg/kg(最大30mg)を1日1回14日間、食後に経口投与します。

【作用機序】
本剤は8-アミノキノリン化合物であり、マラリア原虫に対する作用機序の詳細は十分に解明されていませんが、ミトコンドリア電子伝達系やピリミジン合成の阻害作用、活性酸素による酸化的損傷によるものと考えられています。

【副作用】
通常見られる副作用は軽度の胃腸障害であり、腹痛、悪心、嘔吐などは食後の服用で避けられることが多いといわれています。また、メトヘモグロビン血症、軽度の貧血や白血球増加を生じることがあります。最も重要な副作用はG6PD欠損者における溶血性貧血です(我が国におけるG6PD欠損者の頻度は0.1% あるいはそれ以下)。
薬剤のほとんどが肝代謝です。しかし肝機能障害患者における PK 試験は実施されておらず、それらに関する公表文献は見当たりません。ただし長期にわたりプリマキンが使用されている海外でも、肝機能障害患者における本剤投与時の注意喚起はされていないことを踏まえて、添付文書においても特段記載はされていません。

≪参考≫
・ プリマキン錠15mg 審査報告書
  http://www.pmda.go.jp/drugs/2016/P20160309001/780069000_22800AMX00403000_A100_1.pdf
・ 熱帯病に対するオーファンドラッグ開発研究班ホームページ
  http://trop-parasit.jp/HTML/med/10primaq_140917.html
・ 国立感染症研究所ホームページ
  http://www.nih.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/519-malaria.html
・ 日本旅行医学会ホームページ
  http://jstm.gr.jp/​
7. 使用上の注意と服薬支援
【薬剤師への注意】
(1)グルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)欠損症の患者では、体内の活性酸素を除去しきれず、赤血球が損傷され、血液毒性(メトヘモグロビン血症、溶血等)を起こす可能性があるため、禁忌です。
(2)本剤の投与により妊婦および胎児に血管内溶血が生じるおそれがあります。また胎児ではG6PD欠損の有無が予測できないことから、妊婦または妊娠している可能性のある女性に対して禁忌です。
(3)本剤は、肝細胞内に残存する三日熱マラリア及び卵形マラリア原虫の休眠体を殺滅する薬剤であるため、急性期のマラリア治療後に発熱等の消失が確認された後に、投与を開始します。
(4)プリマキンには遺伝毒性の可能性があることが報告されているため、該当する患者には適切な避妊を行うよう指導してください。
(5)QT間隔を延長させる可能性のある薬剤との併用によりQT間隔延長及び不整脈が報告されています。また、心疾患等リスクを有する患者ではこれらの副作用があらわれるおそれがあるので注意してください。

【患者さんへの説明例】
(1)マラリアの急性期治療の後に、肝臓に残っているマラリア原虫を死滅させて、再発させないようにする根治治療のためのお薬です。
(2)肝臓に残っているマラリア原虫を完全に死滅させるには、お薬を14日間しっかり続けて服用することが大切です。
(3)飲み忘れた場合は、決して2日分を一度に飲まないでください。気がついた時に、できるだけ早く飲み忘れた分(1日分)を飲んでください。ただし、次の飲む時間が近い場合は、次の時に1日分を飲んでください。
(4)妊娠している可能性がある女性、パートナーの方が妊娠する可能性がある男性は、この薬を使用している間は適切な避妊を行ってください。
(5)尿の色が濃くなったり、赤褐色の尿が出たときは、すぐに医師に連絡してください。
8. 製造販売元など
製造販売元:サノフィ株式会社
お問合せ先:サノフィ株式会社 くすり相談室 0120-109-905
※主に添付文書、医薬品インタビューフォーム、審査報告書を参考に作成いたしました。
※薬の使用にあたっては、必ず処方する医師の指示にしたがってください。
(文責 下平秀夫) 2016年9月

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